犬と一緒にいると、人間のことを理解していると感じますよね。でも犬は話すことはできませんし、実際どう思っているかはわかりません。
しかし犬の脳内をみれば何を考えているか分析できるようです。実際アメリカのエモリー大学では、MRIを使い「犬が人間をどう思っているか」を調査しました。
犬は人間を何よりも大切に思っていると判明(米エモリー大学研究)
米エモリー大学の動物認知科学者は、犬をMRIに寝かせて訓練を重ねました。犬には「知っている犬と人」「知らない犬と人」の4パターンのにおいを嗅がせます。そして磁気共鳴機能画像法(fMRI)という人体に無害な方法で、神経反応を調べるといったものです。
エモリー大学による研究のながれ
1.犬をMRIに寝かせる訓練をする
2.「知っている犬と人」「知らない犬と人」のにおいを嗅がす
3.体に無害な方法で脳神経の反応を調べる
その結果犬は飼い主のにおいを嗅いだ時、脳にある尾状核の報酬系が活性したそうです。動物の報酬系は食欲や性欲による「満足感」を与える神経回路と言われています。そして空気中に漂うにおいの中でも、人間のにおいを優先しました。
犬は耳でも人間を感じている!(エトヴェシュ・ロラーンド大学研究)
ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学の研究者らも、同じような犬の研究結果を発表しています。研究者らは犬に対し、人や犬のうなり声やため息を聞かせ、脳内を調べました。その結果、「犬と人間はネガティブな声を処理する方法が似ている」と判明。
逆にポジティブな音は、犬と人間の聴覚皮質を明るくさせるとわかったのです。これは犬と人間の絆の根底には、独自のコミュニケーション方法があることを指します。犬は何となく飼い主の気分を読み取っているわけではなく、もともと人間の感情を知れる能力が物理的に備わっているわけです。
「犬は飼い主との絆を大切にしている」(神経科学者アッティラ・アンディクス)
神経科学者のアッティラ・アンディクス氏は次のポイントを述べました。
赤ちゃんが両親と接するように、犬は飼い主と接する
犬は恐怖や心配を感じた時、飼い主の近くに寄るが、これは幼児が苦しんでいる時親に助けを求めるのと同じ。猫や馬だと飼い主に近寄らず、その場を去っていく。
霊長類を除く動物のなかで、犬だけ人の目を見られる
これは約10年前、アンディクス氏がオオカミの家畜化研究をした際に発見。犬に似たオオカミを育てるよう試みたが、人の目を見るのは犬だけと判明。犬は人にはアイコンタクトを求めるが、生みの親には求めない。
アッティラ・アンディクス氏は次のように話します。
「犬はほかのペットよりも、飼い主との絆を大切にしている」
またイエールにある犬認知センター主任研究員のローリー・サントスも、次のように述べています。
「犬は私たち人間に助けを求めていることは、研究によって明らかだ。それは犬ともっとも近しい種族のオオカミでさえ異なる」
犬を見ると幸せな気分になれる(マサチューセッツ総合病院研究)
2019年10月科学誌のPLOS Oneは、「人間もまた犬に対して強い感情を抱く」と発表しています。この研究ではマサチューセッツ総合病院の研究者らが、犬と人の赤ちゃんの写真を被験者の女性に見せ、脳の活動を測定するというもの。被験者は最低2年以上、犬と赤ちゃんを世話した経験があります。
その結果どちらの写真も、感情、報酬、所属、視覚処理、社会的相互作用における、脳の活動を起こしました。つまり犬や赤ちゃんたちは、見るだけで私たちを幸せにしてくれるというのです。
犬は人間のことを愛しているし、家族だと思っている
犬の表情で何を考えているか解釈するのは、外れるケースもあります。例えば犬が叱られて挙動不審になるのは罪悪感があるからではないそうです。犬にとって罪悪感は複雑な感情だから備わっていません。
しかし毎日一緒に過ごす飼い主が感じる犬の気持ちは、おおよそ当たっています。犬とは会話ができませんが、犬は人間を大事に思い、信頼してくれています。あなたが犬好きなら、相思相愛の確率は高いといえるでしょう。
参考:https://www.mic.com/articles/104474/brain-scans-reveal-what-dogs-really-think-of-us